どようのつちのひクラシック音楽

どようのつちのひ 62

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シューベルト 「アルペジオーネ・ソナタ」より第1楽章(1824)

アルペジオーネという当時発明されたばかりの楽器の為に作曲された曲。
アルペジオーネはチェロの様な形状ですがギターのようなフレットが付いており、弦もアコースティックギター同様に6弦(チェロは4弦)。ただし、チェロ同様に弓で弾きます。

この曲がアルペジオーネで演奏される事はまずありません。
作曲こそ楽器が開発された直後の1824年ですが、当時ですら楽器として特に流行らなかった上に、楽譜が出版されたのはシューベルトの死後である1871年。アルペジオーネは完全に忘れ去られた楽器でした。

昨今では音域や奏法が近いチェロで演奏される事が多い曲です。今回紹介する音源もチェロでの演奏。ただ、アルペジオーネの方が広い音域を持つ上に、フレットが無い為高音域の制御が難しいなどチェロでの不都合も幾つか有るようです。

その様な状況で尚この曲が演奏されるのは、この曲がそれだけ魅力的という事に他なりません。

1楽章冒頭の心に染みる感傷的なメロディーを軸に様々なドラマが展開されていきます。全体的に暗いメロディーですが、音の跳躍も多く運動的な表情も見せます。この二面性を抱えながら進行する音楽が大変に美しくも人間臭さを感じさせる楽章です。


ちなみに、こんな素晴らしい曲がチェロにだけ編曲される訳がなく(?)ヴィオラやコントラバス、更にはギターでも演奏されたりします。

また、フルート版も有ります。楽譜も所持していて、練習も何度かしました。
チェロより更に音域が狭いため音域の処理に多少無理は有りますが、それでも名曲は何で演奏しても名曲です。

自分が曲の良さを引き出せているのかはまた別のお話…

あまりの曲の素晴らしさに他の楽器に移植された曲は他にもフランクのソナタが有名です。本来はヴァイオリン曲なのですが、チェロやフルートでもレパートリーの一つとして定着しています。

しかし廃れてしまった楽器の曲が移植され現代まで語り継がれている例はこの曲くらいでしょう。
先述の通り出版時には既に忘れ去られた楽器だったわけですが、この曲が楽器の発明と同時に出版されていたらアルペジオーネの運命もまた違ったような気がしてなりません。